新聞記事から〜1999

ここでは、新聞記事から社会福祉に関係のあるものを選び、紹介・解説します。
 

ボランティア活動をする人たちが有限会社を設立
 (1999/09/02 日本経済新聞)
 高齢者介護のボランティア活動をする人たちが有限会社を作り始めた。来春から施行される介護保険で指定居宅サービス事業者となるためだ。これまで、NPO(非営利組織)法人で参画すると見られていたが、一転、会社を選択した背景には仕事としての自覚を高める狙いもある。「福祉に営利事業はなじまない」との声が強かっただけに、この決断は地域活動のあり方に一石を投じそうだ。

 解説です
 介護保険の実施を目前にしての動きがめまぐるしいです。これまで表に出てこなかったことが一気に、それもいろいろな形で新聞にも出るようになりました。特に介護保険の記事はよく出ます。
 ここにあるように、社会福祉の分野にビジネスとしての視点が入ってきています。会社にしないとサービス競争で太刀打ちできないというのは切実な問題です。利用者に選んでもらえないようなことがあると、必然的につぶれてしまうからです。良いサービスを提供するという視点、効果的な取り組みという視点はこれまでにもあったのですが、これにプラスして効率やそれによる利益という視点はこれまでにはなかったものです。よりシビアに自分たちの行っていることを点検して、コスト意識を持たなくてはなりません。
 私自身はこのこと自体を否定しませんが、逆に考えると効率があがらなかったり、利益に結びつかないと事業そのものが中止されることも起こるかもしれません。以前、採算が合わなくて倒産した有料老人ホームのことを思い出します。社会福祉の援助は、いくらやってもやりすぎということがないだけに、利益との関係で利用者の満足とは関係なく、援助がうち切られることを心配します。


バリアフリー設計なのに…
 (1999/08/02 日本経済新聞)
 「安心のバリアフリー設計」「お年寄りにやさしい家」。こんな言葉が目を引く住宅メーカーの宣伝文句。だが、この「安心設計」に思わぬ盲点が潜んでいることもある。段差はなくても車いすのままでは使えないキッチン、手すりが装着できない室内の壁……。身体状況や介護者の有無などによって、住居の中の障壁はそれぞれ違ってくる。バリアフリーを考えた新築やリフォームは、慎重なプラン作りが必要といえそうだ。
 (中略)
 高齢者向け住宅の新築・リフォームを手がける高齢者住環境研究所の代表は、「段差を解消して所々に手すりをつけさえすればバリアフリーだと簡単に考えている住宅メーカーも少なくない」と業者側の問題点を指摘する。
 (中略)
 設計図では納得しても、実際に住んでみないと気づかない「バリア」が潜んでいることは多いはず。こうした盲点をできる限り少なくするためにも、プラン作りの段階できめ細かくチェックする姿勢が必要だ。

 解説です
 住宅に関してこのような記事を見つけました。このことは、車いす体験やブラインド・ウオークを体験したときに実感したことです。実際に、車いすに乗ってみたり、目隠しをして移動してみれば同様のことを感じます。見た目にはスロープが付いているのですが、いざ使ってみたら変な方向に付いていたり、遠回りをしないと使えなかったりします。まるで、飾りのようです。実際に使うことを想定していないことが一番の原因ではないでしょうか。
 本当にバリアフリーを考えるのなら、利用する人のことを一番分かる人を社員に迎える必要があるのではないでしょうか。たとえば、社会福祉士や介護福祉士の有資格者や障害を持っている人です。そのような当たり前の取り組みが必要ですよね。
 蛇足ですが、最後の「盲点」は、できれば「問題」という表現の方が良いと思います。


障害者の資格・権利/制限項目、300の法・政令に/運転免許や医師免許、住宅入居も/調査のNPO国に見直し要請へ
 (1999/05/23 朝日新聞)
 障害者はあれもだめ、これをやってもだめ−。体や心の障害を理由に、資格 の取得や権利を制限する「欠格条項」を盛り込んだ法律や制令が、「障害者 欠格条項をなくす会」(事務局・東京)の調べで分かった。
 同会は今月8日 に旗揚げした民間非営利組織(NPO)。条項をもとに資格などから一律に門前 払いされるケースもあり、国への見直しの申し入れなどをしていく。(中略)
  なくす会は、東京や大阪、広島などの弁護士や大学教員、身体、知的、精神 に障害をもつ人達訳40人が呼びかけて発足した。(中略)
 同会によると、 精神、知的障害の人も対象とされてきた禁治産や準禁治産を制限した法令を 含め、295の法令に、欠格条項が含まれていたという。免許や資格の取得を 一律に制限したものや、「種々の問題を生じさせるおそれがある」として、 精神障害の外国上陸できないと定めた出入国管理及び難民認定法のように、 何らかの権利を制限したものもある。

 解説です
 検索サーチエンジンヤフー(yahoo)で「欠格条項」で検索をかけると374件(5/26現在)がヒットします。そして、その内容はいろいろな就職情報の中にある「欠格事項」の情報です。
  このように、精神障害をはじめとした障害をもっている人を一律に閉め出す 法律やその他の条令はいっぱいあります。障害をもっていても社会参加を 進めていくには単純に障害があるというだけでその機会を奪うことにはやはり 問題があるのではないでしょうか。
  ちなみに、私もこの会の呼びかけ人になっています。


米で進むアニマルセラピー/荒れた心 動物で穏やかに(1999/3/5 日本経済新聞)
 犬や馬など動物との触れ合いを通じて、病状を和らげたり心の正常な発達を促すアニマルセラピー(動物介在法)。日本でも最近、関心が高まっているが、この分野の先進国である米国ではどんな取り組みがされているのか。(省略)
 動物をペットとして飼ったり日常的に接触することは、肉体的・精ストレスを和らげるなど、人の心身にさまざまな良い影響を与えることが、多くの研究で明らかになっている。研究と並行してアニマルセラピーを使ったいろいろなプログラムが開発され、学校や病院、高齢者施設などでプログラムの導入が進んでいる。中には、囚人の更生プログラムの一環としてアニマルセラピーを実施している刑務所もある。(記事から一部抜粋)

 解説です
 以前勤めていた精神病院で、園芸療法と同時に行っていたことを思い出しました。そこでは、病院の中庭で山羊を飼育していました。山羊の散歩や餌やりは患者さんの日課となっていました。アヒルを飼うことも話題に上りましたが、飼育のノウハウを持っていませんでしたので実現はしませんでした。
 現在、私は備後音楽療法研究会に関わっています。ちょうど20年前に、私も音楽療法に関心を持ち、大学の教授に音楽療法のことを質問に行ったことがあります。そのときに、「音楽療法。そんなものはない。」と言われたことは、今も鮮明に覚えています。アメリカの先駆的な取り組みにはいつも感心させられますが、そのようなアイディアを大切にして、本当に役立つものにしていることは見習わないといけません。 


成年後見人制度 来春導入へ(1999/2/12 日本経済新聞)
 成年後見人制度−−痴呆などで判断能力が落ちた人に公的な支援者(後見人)がつき、必要な世話を手配したり財産を管理したりする仕組みのことだ。法務省は来年4月に導入する方針で、今国会にそのための民法改正案を提出する。自立した生活を支える重要な制度と言われるが、本当に利用しやすいものにするには課題が残る。
 法務省が導入しようとしている成年後見人制度は、痴呆の高齢者らが望みどおりの生活を続けられるように、後見人をつけるものだ。あらかじめ後見人を選んでおくことも認めており、概して評価は高い。しかし、成年後見人に詳しい専門家の間には、家庭裁判所のマンパワーに問題があるとしている。家庭裁判所の裁判官は全国に350人程度。さまざまな家庭事件に追われ、どこまで迅速かつきめ細かい対応ができるか不安がある。(記事から一部抜粋)

 解説です
 成人してから、本来あった判断能力ができなくなった場合に、そのに変わって本人の人権を守ることを目的にしているのが成年後見人制度です。記事にあるように痴呆や精神分裂病等の精神疾患の患者が主たる対象者になります。現在は、保護義務者という制度がありますが、より本人の人権擁護という視点から法律の改正が行われる予定です。しかし、本当に本人の人権を守ることができるのかという視点からも問題があるとされています。
 家族が成年後見人になることが多いのですが、本人の財産を勝手に使う家族がいたり、本当に本人の人権を守れるかということに問題がないわけではありません。もちろん善意で、本人の人権を守り、財産の管理をすることが普通なのですが……。
 社会福祉の重要な理念にアドボケイト(人権擁護・代弁)というものがありますが、専門家としても重要な問題であり、実際に適正に運用されるかを見守って行かなくてはなりません。

在宅の精神障害者向け 福祉施策創設を −厚生省意見書 法改正へ−(1999/1/15 日本経済新聞)
 厚生省の公衆衛生審議会(厚生省の諮問機関)は在宅の精神障害者に対する福祉サービスの創設などを柱にする意見書をまとめ、14日、宮下創厚相に提出した。精神科の救急医療体制の整備や入院基準の厳格化など患者への人権侵害防止策も提言している。同省はこれをもとに精神保健福祉法の改正案をまとめ、19日召集の通常国会に提出、来年4月の施行を目指す。
 厚生省によると、在宅の精神障害者は現在約182万人いるという。しかし、身体障害者や知的障害者に対して行われている訪問介護事業(ホームヘルプ)や短期入所事業(ショートステイ)などの在宅福祉サービスは「ほとんど実施されていない」のが実情だ。
 意見書は、入院患者でも地域の受け入れ態勢が整えば退院が可能として、「身近な市町村を中心とする在宅福祉サービスの体制整備」を提言。併せて高齢化が進む保護者の負担軽減の必要性を訴えた。同省は「3年程度の準備期間を置いて、市町村に事業の充実を求めて生きたい」としている。
 一方、治療面では精神科の救急搬送体制の整備を提言した。現状では、患者本人が拒んだ場合、家族が無理やりにでも連れて行かないと受診できないためだ。今後は家族の負担を減らし、病院や消防を含めた搬送体制の確立を目指す。
 意見書は人権への配慮も強調、患者本人が拒んでも保護者の同意で入院させられる「医療保護入院」の要件を、「本人に判断能力がない場合」に限定。患者が入院に同意している「任意入院」の場合、自分の意志でカギのかかった病棟から出られない「閉鎖処遇」にはしないことなども盛り込まれた。また、病院が悪質な人権侵害を繰り返した場合などには、都道府県知事が病院に業務停止命令を出せることも求めた。

 解説です
 精神障害者に対する福祉サービスに関しては、これまでの入院医療中心の対応が影響しており、まだ始まったばかりです。現在では、社会復帰に関する福祉サービスが「精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律」の中で規定されているだけです。在宅の精神障害者に関する制度としては、精神障害者地域生活支援センターがありますが、数も少なく、事実上はほとんどないというのが現状です。
 今回の公衆衛生審議会の意見書は、そういう意味では前進した意見となっています。しかし、在宅の精神障害者に対する福祉サービスに関しては、身体障害者や知的障害者と同様のサービスを考えているようです。これは、障害によるニーズの違いに着目しておらず、在宅の精神障害者にとって本当に必要なサービスとはいえないように感じます。特に、介護事業に関しては、日常生活動作といった身辺の自立はできていますが、より社会的な能力や行動上の障害に対するサービスの必要性が求められるからです。
 本当に精神障害者の求める福祉サービスとは何かという視点が求められるのではないでのしょうか。
  

老人ホーム異業種参入(98/12/09 日本経済新聞)
 三洋電機は8日、米社と組み、岡山県倉敷市に夫婦などでの入居も可能な約110室からなる有料老人ホームを建設すると発表した。ビル管理のビケンテクノも99年から、遊休化した寮や社宅を借り受け改装したうえで、賃貸型老人ホームを運営する。厚生省の推計では介護支援が必要な高齢者は2025年には今の約2倍にあたる520万人に達すると見られる。2000年の公的介護保険導入もにらみ、異業種から介護福祉施設事業への参入ラッシュが続きそうだ。

 24時間巡回型の在宅介護 病院と組み全国展開(98/12/16 日本経済新聞)
 在宅介護サービスのコムスンは、24時間巡回型の在宅介護サービスを医療機関と組んで全国展開する。共同出資で運営会社を設立し、医療と介護を合わせた総合サービスを提供する計画。鹿児島県内に第1号の会社を設立した。2000年度の公的介護保険制度導入を控え、介護への進出を狙う医療機関が増えている。コムスンは地域の有力医療機関との連携で介護事業の全国展開を早める。

 解説です
 上記の新聞記事にもあるように、2000年度から導入予定の公的介護保険をにらみ、社会福祉施設だけでなく、病院や一般企業がいろいろなことを考えています。先日発表された介護支援専門員(ケアマネジャー)の合格者でも、社会福祉関係の人より医療関係の人の受験者、合格者が多いこともわかっています。
 異業種がどんどん参入してくると、改めて社会福祉の専門性や独自性が問われることになります。のんびり構えていると、本来社会福祉の仕事が異業種の人たちに取って代わられるかも知れません。そのようなことのないように、社会福祉の専門性や独自性をはっきりさせ、学生にも伝えて行く必要があります。

男の介護、広がる支援 (98/09/22 日本経済新聞) 
 「突然倒れた妻の世話の仕方が分からない」「地域に相談相手がいない」……。在宅介護の担い手として、男性介護者の抱える問題がクローズアップされている。こうした中、福祉施設が地域の男性介護者のネットワーク作りに動いたり、自治体などが男性介護セミナーを開いたりと、支援の動きが広がってきた。高齢夫婦や共働き世帯の増加を背景に、妻頼み、「嫁」頼みとはいかない「男の介護」を考えてみた。
 
 この記事は結構長いので、記事の要点を箇条書きにします。
 ▲近所づき合いが少ない男性は、誰にも相談ができず、介護の仕方も分からない。また、相談できないため、密室の介護になってしまう。
 ▲介護をしている男性に集まってもらうことで、介護技術を知るだけでなく、男性介護者の疲れをいやすことができる。同じような境遇の人の仲間作りになっている。

 解説です
 「家のことは女がすることであり、男は外で仕事さえしていればいい」、という考えを持っている人が、介護をしなくてはいけなくなると、この記事にあるようなことが起こってきます。最近の若い世代の男性は、共働きが当たり前の生活でもあり、男女が協力して家事を分担するようになっています。そういう人たちは、たぶん介護もそれほど苦にならず、できるかもしれません。
 同じような境遇の人が集まり、一緒に学んだり、情報交換をしたりすることは重要なことです。自主的に集まると、セルフ・ヘルプ・グループ(自助集団)となりますが、介護をする男性の場合には、まだ専門家が声をかけ、集まってもらうことをしないとこのようなこともできないのでしょう。
 男性も会社人間としてだけで生きるのではなく、生活者として、仕事以外のことに関わっていくことが求められます。会社以外の仲間作りが介護を通してできることは喜ばしいことです。今後は、当事者が継続的に、自主的につながりを作ることが求められます。


介護プランを自動作成 ジェイ・エム・エスがソフト 老人ホーム向けに (98/05/09 日本経済新聞)
 医療用具のジェイ・エム・エスは、高齢者の介護プランを自動作成する新ソフト、「愛プラン」を発表した。特別養護老人ホームなどの収容人員50−100人規模の各種老人保健施設へ業務効率化ソフトとして売り込む。
 愛プランは三井物産などが開発、ジェイ・エム・エスが中四国地方の販売を担当する。厚生省のケアプラン策定指針に準拠し、高齢者の問診結果を入力すると、個人別注意事項やアレルギー表、介護タイムテーブルなどが自動作成される。介護担当者の担当管理表なども作成できる。
 別売りの施設運営管理ソフト(約70万円)をセットすると、ベッド管理や勤務割り、措置費請求書がケアプランと連動して作ることができる。
 価格は、基本ソフトが180万円で、専用のコンピューターや関連ソフトなど一式セットで300万円〜500万円。2000年度導入の公的介護保険ではケアプランの作成、実行が保険給付の前提となる見通し。ジェイ・エム・エスは愛プラン活用でケアプラン作成が効率化できるとしている。

 解説です
 最近は、このような記事が日本経済新聞に多く載るようになってきています。今年4月から、保育所の利用方法が変わったこととも関連ありますが、社会福祉サービスが一般化するに従って、企業の参入が促進されてきます。そこでの関心のひとつに、効率化があります。この記事でもこのことをうたい文句にしています。
 誰が介護プランを作るかによって、サービスを受ける人に不公平が起こらないことは、福祉サービスを提供していくためには大切かも知れません。実際に、そのことがポイントになっています。しかし、一方で介護プランの立て方によって、利用者に提供するサービスの違いをアピールしていくことも考えられています。相手の状況を適切に把握し、その人に合った、また満足してもらえる介護プランを立てることが要求されています。このソフトは、このあたりのことをどの程度考えて作られているのでしょうね? 気になります。


虐待つづり「いやし」へ 「日本一醜い親への手紙」100通選び出版  (97/10/16 朝日新聞)
 「あなたは今でも知らないはずだけど、僕は金属バットを持ってあなたのまくら元に立ったことがある」。親へのこんな思いをつづった本「日本一醜い親への手紙」が出版された。東京都内の出版社が、親から受けた虐待の体験記を募集、うち百通を選んだ。「『いやし』への一歩として、親を無理に愛さなくてもいいんだというメッセージを贈りたかった」と編集者は話している。

 解説です
 親に対して本音を言うことは結構難しい。特に、幼児期に親からさまざまな形で暴力を受けた子どもは、傷つき、親からの愛情を失わないために本音(欲求)を言わないようになります。暴力を受けなくても、無視や不適切な対応でも同様のことが起こります。
 しかし、言わないだけで、本音(欲求)はなくなりません。それは、子どもの心の中でどんどんたまっていきます。その結果、本音は形を変えて、非行や家庭内暴力、不登校といった行動として現れたり、頭痛、肩こり、下痢等の身体の症状として表れたりします。
 理想は、直接相手に本音(欲求)を言うことですが、これまでの経過を考えると、いきなりはできません。
 そこで、手紙に本音や欲求を書くという方法が有効となってきます。虐待の体験や、その時の自分の気持ちや感情などの本音・欲求を吐き出すことが「いやし」になるのです。


大学・短大 専門士に編入資格を 大学審の部会報告 来年度にも実施 (97/10/1 朝日新聞)
 文相の諮問機関である大学審議会(石川忠夫会長)の総会が30日開かれ、3つの部門が審議状況を報告した。大学教育部会からは、「修業年限が2年以上で総授業時間数が1,700時間以上の専門学校」を卒業した、「専門士」に大学や短大への編入資格を認めるよう求める報告があった。
 専門士制度は1994年度から始まった。工業や医療、商業実務などの過程を学べる専門学校は全国に2,981校あり、96年度は2,338校が卒業生に専門士の称号を与えられると文部省が認定。年間20万人前後が専門士になっている。
 文部省は報告を受け、早ければ来年度実施できるように改正作業を始める方針だ。

 解説です
 専門教育への指向性が高まり、それに伴って高学歴化志向も高まってきています。
 看護の世界ではいろいろな問題が指摘されていますが、准看護婦資格の廃止や、大学での学部設置や、大学院の新設もあります。
 社会福祉の分野でも、1987年にできた「社会福祉士及び介護福祉法」が今年で満10年、資格に対する意識の高まりとともに、より実践的で役に立つ専門教育への要望・必要性が求められるようになっています。
 専門学校で社会福祉を学び、それをきっかけに、より専門的な学習をすすめたいと思う人にとっては、実現するかが気になるところです。また、社会福祉士資格の受験資格は、専門学校卒業生の場合には卒業後の相談業務実務経験が必要です。しかし、社会福祉士資格が定着するに従って、相談業務に就くための用件として、社会福祉士資格が求められようになってきているという傾向もあります。どうなるかを注意しておきたいですね。


老人ホーム、障害者施設垣根取り払い 利用者の権利を守ろう (1997/9/5 朝日新聞)
 老人ホームや障害者施設の「垣根」を取り払って利用者の権利を守ろうという地域型のオンブズマン組織「湘南ふくしネットワーク」が、神奈川県茅ヶ崎市などを拠点に発足した。単独でオンブズマン制度を導入する福祉施設は増えてきたが、地域横断的な組織はきわめて珍しい。複数の施設を監視の対象にすることで、 「なれあい」を防ぐのが目的だ。施設への遠慮から利用者の不満は表面化しにくいだけに、「ネットワーク」に寄せる関係者の関心は高い。

 解説です
 オンブズマンとは、市民からの苦情の解決や適正運営のために第三者が監視する制度です。
 特別養護老人ホームや知的障害者の施設では、ときに入所者への虐待や暴力・体罰が話題になります。また、入所者の財産の侵害と言う問題もあります。施設が収容の場から、生活の場へといった変化の中で、利用者の権利を守る動きが活発になってきています。


「精神の病」次々映画に (1996/2/3 朝日新聞)
 精神障害者が主人公、あるいは精神病院が舞台といった劇場映画の上映が相次いでいる。制作国は日、仏、伊と異なるが、いずれも女性が主人公。日常のストレスから心のバランスを崩し、立ち直っていく姿を描いている。背景には、若い世代を中心に、精神病をかつてのように特別の病気と見ず、目を向けようとする考えが広がっているのでは、という声も聞かれる。
 「おかえり」は篠崎誠監督の第1作。ギリシャのテサロニキ国際映画祭の最優秀監督賞・国際映画評論家連盟賞などを受賞した。
 東京の郊外のマンションにすむ、ごく普通の若い夫婦の物語だ。毎日仕事に出ていく夫と、ひたすら帰りを待つ妻。日常生活のささいな行き違いが重なるうちに妻は精神分裂病になり、夫の知らない世界に行ってしまう。夫は戸惑いつつも妻と共に生きていこうと決心する。

 解説です
 ここで取り上げられている「おかえり」は、今年に入っても上映が続いています。最近も、97/9/9付けの朝日新聞で紹介する記事が載っています。私も、昨年見る機会がありました。精神障害がどのようなものなのかを知らないことが原因の偏見や差別意識があります。事実を知らないと、「怖い」、「何をされるか分からない」といったことが先に立ち、正しく理解されません。正しく理解することで、 人が生きていく際に、状況によっては誰にでも起こりうることであることや、そのことが生活に及ぼす影響、また生活していくうえでの困難について考えることができます。


   「新聞記事から」へ戻る