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障害者本人に焦点を当てたニーズ調査の問題と課題
○福山平成大学 長崎 和則 / 福山平成大学 上田 征三
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| この原稿は、1999年10月9日、10日開催の日本社会福祉学会第47回全国大会(於:川崎医療福祉大学)の自由研究発表レジュメです。 |
| 1、研究目的・問題の所在 障害者の中でも、知的障害者や精神障害者の社会生活を支援していくときに問題となることのひとつに、障害者本人と支援をする周囲の人とのニーズの違い、ニーズの認識のズレがある。 これまで、知的障害者や精神障害者に関しては、本人が自分のニーズを積極的に表明するということが少なく、表明されることがあっても、障害者本人の意見は重視されることがなかったり、軽く扱われてきた。それは、知的障害や精神障害の特徴とも関係している。障害があるために、自分の状況をうまく言葉にして説明できなかったり、説明するときに論理的に、あるいは系統的に説明できないことがあるからである。 また、障害に関する周囲の人の誤解や無理解から、障害者本人の意見を積極的に聞いていこうという取り組みもされてこなかった。そのため、障害者本人に焦点を当て、障害者本人の視点から見て、障害者本人の生活に必要な社会資源の開発や制度の整備が図られることがなかった。そして、障害者を支援する家族やその他援助者の視点から見て、必要であると捉えられたことが規準となり、施設・制度の整備が進められてきている。 障害があるとはいえ、実際に生活をして、不都合や困難を感じているのは、当事者である障害者本人である。その当事者本人の意見や思いに素直に耳を傾ける必要がある。 2、研究方法 障害者自身が社会生活を送る上でのニーズについて、障害者自身に焦点を当て、障害者自身の社会生活を支援するために必要なニーズの把握が必要不可欠である。研究方法としては、知的障害者・精神障害者自身に聞き取り方式で調査を行っている。今回は、現在実施している予備的な調査の際に出てきた問題点を中心的に報告する。 今回の調査では、障害者自身を調査の対象としていることが特徴である。そのため、調査を実施する際には、いくつかの問題点がある。それらについて以下述べていきたい。 1)対象者 家族の理解があり、本人も話をすることに同意してもらった知的障害者を対象者とした。 家族(母親)に対しても別室で別の担当者が聞き取り調査を行った。 2)調査員 障害者自身と利害関係のない中立的な立場の調査員として私たちが行った。 3)回数 調査に先立つ顔合わせを含めて3回実施した。 4)時間 夕方から約1時間とした。 5)方法 @話題を限定せず、対象者が自由な雰囲気で語れるようにした。ボランティアの学生にも応援してもらった。 Aこのときに気をつけたのは、堅苦しくない雰囲気と、語ることの自由さである。 B事前に説明をして話の内容を録音させていただいた。 6)録音した内容を逐語録として文章化し、話の内容を検討している。(現在進行中) 3、考察 障害者自身の調査において一番重要な点は、障害者自身の本音をくみ取ることである。しかし、障害者自身のニーズ調査はこれまであまり行われたことがなく、その方法も確立されていない。特に、知的障害者に関しては、調査を実施する際の注意が必要である。コミュニケーションの能力が十分なく、援助者の補助や協力が必要な場合には、なかなか障害者本人の意見が聞き出せない。 また、援助を必要とする人には援助者との利害関係がどうしても存在する。在宅では、家族との利害関係がある。そのような場合には、障害者といえども援助者に対して遠慮をしたり、顔色をうかがったりする。そして、援助者に気に入られる表現をしたり、本当には思っていないことをお世辞のように表現することがある。そうすると、障害者自身が生活していく上で必要なニーズがありのまま出てこないことになる。 以上のようなことを考慮に入れ、今回、調査を実施するにあたって、面接による聞き取り調査を実施した。また、コミュニケーション能力との関係で、調査の補助を障害者の周囲の援助者に協力をしてもらうことを当初予想していた。 4、今後の課題 聞き取り調査を実施しているときには、同じような内容の繰り返しが多く、知的障害者自身に焦点を当てたニーズ調査は不可能ではないかと危惧していた。しかし、録音した話の内容を文章化し、その発言について分析をしていく中で新たな発見が多くあった。 そのときには流されるようにしていたことや、ちょっとした違和感といったことであったが、文章化されたものを詳細に検討していくと、知的障害があり、直接的に自分の意見を表明することがなくても、話の進行や、話題そのものの意味、やりとりの中に本音がちりばめられていることがわかった。 この発表に基づいてより建設的なニーズ調査にしていきたい。 |
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