ちょっとブレイク 2004

ここでは、社会福祉に関連する著書、小説などを紹介します。

 
月崎時央.(2002).精神障害者サバイバー物語−8人の隣人・友達が教えてくれた大切なこと−.中央法規.1800円(税別) (2004年11月3日 追加) 
 この本は,精神障害を持つ当事者のさまざまな人へのインタヴューを通して,それぞれの生きる姿を紹介している。従来一般的には,精神障害者のことが語られるときには,家族の視点であったり,援助者である精神保健福祉士や医師,看護師からのものが多かったですね。しかし,最近は当事者が自らの体験を語ったりされる機会が多く出てきています。この本からは,精神障害を持つ当事者のさまざまな体験,特に病気になった経緯やそこから現在に至るまでの歩みが語られています。

 精神障害者という匿名のとても変な感じのする言葉と違い,精神障害を持つ一人の人間として,何を経験し,何を考え,今何をしようとしているのかが非常にイメージしやすい形で読むことができます。理念としていわれる一人の精神障害を持った人ということが,自然にわかる本だと思います。

 できれば,精神障害を持つ当事者と一人の隣人・友達としてこのような話を聞き,自分のことも話すことができるような関係が作れるといいなあと思います。 
橋本治.(2004).上司は思いつきでものを言う.集英社新書.〔0240C〕
 660円+税 (2004年7月23日 追加)
 本は読んでいるのですが,なかなかここで紹介するような本がありません(と言い訳していますねえ)。

 この本は,今とてもよく読まれているようで,週刊誌等で良く紹介されているようです。

 内容は,会社という組織のことについて,どうして組織では現場の意見が取り入れられないのかということについて書かれています。
 日本の組織は,「『上から下へ』という命令系統で出来上がっていて、『下から上へ』の声を反映しにくい。部下からの建設的な提言は、拒絶されるか、拒絶はされなくても、上司の『思いつき回路』を作動させてしまう」という。

 個人的には,日本のソーシャルワークはなぜ根付かないのか,ということをイメージしながら読んでいました。
 特に,「『下から上へ』がない組織とは、現場の声を聞かなくてもいい官の組織に似ている。著者はこうした官僚的思考パターンは、日本人の中に深く根を下ろした儒教によって生まれている」と分析しているところなどは興味深く読ませていただきました。
中西正司・上野千鶴子.(2003).当事者主権.岩波新書.700円+税 
(2004年3月17日 追加)
 久しぶりの(ほぼ1年ぶり)の「ちょっとブレイク」更新です。
 この本は,あるMLを通じて知りました。その後,何度も書店で探しましたが見つからず,結局ネットを通じて購入しました。
 社会福祉では,当事者の意向を尊重すると言いますが,いつもその前に「最大限」とか「可能な限り」という言葉がつきます。いつも,これらの言葉について,どのように考えるべきなのかを気にしていたところ,この本に出会いました。「最大限」とか「可能な限り」という専門家ではなく,「当事者」がまさに自分のこととしてどのように行動していけば良いのかについて書かれています。
 当事者が生活する上でのニーズを自らが確認し,自分たちのために行動することの重要性を強調しています。また,社会福祉サービスの担い手としての女性の意見を尊重しないという視点でも書かれています。
 精神障害をもつ人の福祉を考えるときにも大いに役立つ視点が多く書かれています。

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