ちょっとブレイク 2000

ここでは、社会福祉に関連する著書、小説などを紹介します。

鷲田小彌太 『パソコンで考える技術』 PHP文庫 2000年12月 514円 (2000/12/24 追加)
 後表紙には、次のようなことが書かれています。
 「パソコンは実は、『あなたの思考力をおおいに高める、人生の味方」なのです。本書は、超ビギナーでもラクラク読みこなせる、パソコンライフへの第一歩の一冊です。』
 この本は、コンビニで目に付いたので買った本です。ちょうど学生の卒業論文の指導や実習に関する記録の書き方など、文章を書くということについての指導をしていますので面白いと思い一気に読みました。パソコンで使うワープロ・ソフトである「一太郎」や「Microsoft Word」を使って文章を書く時の基本的なことについて書かれています。ワープロを本当の意味でワード・プロセッサ(文章作成をする機械)として使うことについて本当に基本的なところから説明されています。基本的な知識として知っておいて欲しいと思える内容です。
 そして、具体的にどうするのかについては、実際に自分でやってみたり、教員などの指導者に相談したりすることをおすすめします。
信田さよ子 『依存症』 文藝春秋(文春新書108) 2000年6月 660円+税 (2000/12/24 追加)
 「依存症」について長年のカウンセラーとしての活動を基に書かれた本です。これまでの病理をとらえる考え方は、は個人を対象としてとらえていました。しかし、その捉え方では解決できない問題が次ぎから次へと出現し、関係性や機能に焦点を当てた新たな考え方が必要となってきました。個人の病理を周囲の人との関係やシステムとして考えることによって、これまでとは異なる解決の可能性が生まれてきたのです。
 この本では、依存症を人間関係障害としてとらえる視点について、著者の具体的な体験を通して説明されています。個人的には、第3章の「経験から」におけるアルコール依存症患者との経験に、精神病院での自分の体験を思い出しながら読みました。そして、疑似体験として知っていて欲しいと思いました。
永六輔 『「無償(ただ)」の仕事 −ぼらんてぃあ−』 講談社+α新書 2000年4月 680円
(2000/08/28 追加)
 ボランティアに関して永六輔氏が話したさまざまなエピソードをまとめた本です。語り口がソフトで読みやすいと思います。私自身も疑問に思っていることについても書かれています。深くボランティアについて考えるきっかけになりそうです。
 ちなみに、198ページには福山市のことが少し書かれています。まあ、特別にどうということではないのですが。福山市のことが紹介されているので、つい書いてみたのです。
水島広子 『親子不全=〈キレない〉子どもの育て方』 講談社現代新書 2000年 (2000/6/20 追加)
 さまざまな「心の病」の原因として、コミュニケーションの障害があります。欲求があるにも関わらずそれをうまく表現できないことでストレス状態になったり、不安な時に不安を素直に表現できなかったり、心の中に葛藤があるのにそれを表現できなかったり、そのようなコミュニケーションの不全が多くの家族間に存在します。
 話をしているといった単純なことではなく、コミュニケーションとはどういうことなのかを事例をあげて説明しています。これまで、コミュニケーション障害については入門的な本がなかっただけに、この本を見つけて良かったと素直に思えたのです。
山縣文治編 『ソーシャルウエルビーイング事始め』 有斐閣 2000年6月 1900円+税
 (2000/06/02 追加)
 初めて社会福祉を学ぶ人のために書かれています。社会福祉がかつての貧困を初めとした限られた人を対象にしていた頃とは異なり、誰もが社会福祉の対象者になりうるということを前提に書かれた本です。そのため、タイトルもソーシャルウエルビーイングという用語を使っています。
 宣伝ですが、私が第6章「社会福祉の援助の仕方−社会福祉の援助技術−」を担当しています。
 詳しくは有斐閣のホームページ http://www.yuhikaku.co.jp/ へ。
 「近刊・新刊紹介」 → 「2000年5月25日現在の近刊」 → 「ソーシャルウエルビーイング事始め」 の順に進んでください。
森田 ゆり 『エンパワーメントと人権 −こころの力のみなもとへ−』 解放出版社 1998年 1700円+税
 (2000/05/27 追加)
 社会福祉の援助においても最近注目されているエンパワーメント(empowerment)について、わかりやすい言葉で書かれている本です。著者は、日本においてCAP(Child Assalt Prevention)=子どもへの暴力防止を紹介し、広める活動をされています。
 私の専門分野の精神保健福祉においても、精神障害者への対応を考えるときにこのエンパワーメントという概念はとても重要です。人間の中に生まれながらに備わっている力が、外的・内的な力によってゆがめられず、肯定的に発揮できるようにすることがその中心的な内容です。
 注意点として、エンパワーが力をつけることと誤解されていることを強調されています。
椎名篤子原作・鈴木雅子作画 『家族の中の迷子たち』 集英社 1998年 1100円+税
 (2000/04/14 追加)
 以前の「ちょっとブレイク」で紹介している「凍りついた瞳(め)」の作者がその後出しているものです。サブタイトルに、「児童精神科医たちが診た衝撃のドキュメンタリー」、とあります。子どもたちに生じるさまざまな症状を、児童精神科医の視点で描かれています。不登校、拒食症などの行動や身体の症状を通じて表現されている「こころのSOS」を描いています。表面に出ていることばかりに注目するのではなく、隠されている真実に気づくことが必要であることがよく分かります。
 身体、心理だけでなく、問題の背景にある社会的な問題にも触れられているので、社会福祉、ソーシャルワークを学ぶ人にも役に立ちます。
小浜 逸郎 『「弱者」とはだれか』 PHP新書(083) 1999年 657円(税別) (2000/03/05 追加)
 この本は、偶然本屋で見つけたものです。精神障害者と呼ばれている人たちと接することを通じて、私自身がそれまでに「勝手に相手を精神障害者として分類し、カテゴライズしていた」事実をこの本を読んで改めて考えます。バリアフリーを考えるときにも、物理的バリア、制度的バリアをなくすことは良く話題になります。しかし、建物も、道路も、制度もみんな人が作っています。人の中にある差別意識について考える必要があります。なぜ人は差別するのかということについて、考えるきっかけになります。
大野 晋 『日本語練習帳』 岩波新書(596) 1999年 660円+税 (2000/01/01 追加)
 今回は、社会福祉に関連する本ではないのですが、ぜひ読んで欲しいので紹介します。どうやら、世間では話題の本のようで、すでに読まれた方も多いでしょうが、まだの人はぜひお読みください。
 大学の講義の中でも特に、社会福祉の実習や卒業論文の作成の時に、読む側を悩ませるのが学生の書く文章です。最近、大学生の学力低下が新聞でも大きく取り上げられることが多くあります。読書不足が最大の原因でしょうが、この状況を何とか改善したいと思い続けています。
 そんなことを考えているので、ついこの本を手にしていました。
 自分のことを振り返るためにもお薦めの本です。

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