「びんご・生と死を考える会」
心あたたかな医療110番
相談の内容紹介 5

質問5
 こんにちわ。私の父は、5年前肝臓ガンで手術をしました。早期ででしたから検査の後家族に相談もなく本人に告知されました。現在では、ほとんどの人に告知及び余命までも話てしまうことがほとんどですが、はたして、いいことなんでしょうか? いろんな段階を自分自身や家族とともに乗り越えていくというのは、わかりますがやはり‘癌‘という病名=死というイメ−ジが強くあるせいかいまだに最近の医者はおかしいと言ってます。どうおもいますか? 前回の時は、胃潰瘍が術後でき吐血しました。そういう事を考えると再発したらどうしたらいいでしょうか? 悩みます。
 いいご意見があったらおねがいします。
回答5
 これは医師以外の人の意見を求めているようにも読み取れますが、とりあえず医師の立場としてお答えします。

 (1)告知の問題
 告知は本来医師の仕事であり義務です。患者さんに本当のことを伝え、本人の意志と希望を聴き、同意を得たうえで、治療の方法を選択・決定すべきです。告知は、できれば家族も同席して、おだやかな雰囲気で、希望を失わないように、話してもらいます。これは癌治療の前提となるべき、大切な医師の仕事であり、重要な技術です。そして、なにがあっても(最後まで)、主治医や家族が支えるという姿勢が必要です。残念ながら、ほとんどの医師は、今までにそのようなトレーニングも勉強もしていません。
 父上の場合には、早期癌で5年間再発がないようですので、すでに治ったと思いますが、進行癌の場合には時期が遅くなればなるほど、告知しにくくなり、やがて本人が分かった時にはすでに遅くて、何もできず、ただ死を待つだけとなります。医師も家族も、もし自分だったらどうして欲しいか、どうしたいかということを考えて、本人に接するべきですが、告知に関するアンケート調査をすると、自分だったら告知して欲しいが、家族の場合には告知しないと言う意見が多いという結果になります。
 日本人の場合、一概に告知するほうが良いと言えない理由があると思います。まず、 日本人は自分のことを自分の意志で決めるという習慣が無い人が多い、つまり自立していないということです。文化的にも日本は稲作文化の国で、いつも人と同じことを していれば良いという、いわば全体主義の国です。
 次に、家族の絆が表面的には大変強いとということです。それが本当に家族を思いやる心からかどうかはわかりません 。アンケートの結果もそれを良く表わしています。そして、もう一つ、個人としての宗教的な支え、つまり信仰を持っていない人が多いということです。人は必ずいつかは死にます。父上の病気は皆さんに生と死について色々なことを考えるチャンスを与えてくれたと思います。それは、やはり人生最大の危機だと思いますので、そのような危機に直面したときに、どのように対応するかということを考えておかなければいけません。私たちは、入学試験などに対しては、それにそなえて一所 懸命に勉強して準備をしておきますが、死という人生最大の危機に対しても、普段から準備をしておく必要があると思います。もし自分だったらどうしたい、どうして欲 しいかということを普段から話し合っておくことが大切だと思います。

 (2)再発した場合のこと
 もし再発したとしても、最初の癌の時と同じように、色々な治療方法を選択できると思います。まず徹底的に闘うのか、闘わないのかという選択から、治療方法にも色々な選択肢がありますので、これも結局は自分自身で納得のいく方法を選ぶことになるのではないでしょうか。
 患者としての権利(自己決定権)を大切にして、患者・家族 中心の医療を推進することが、「心あたたかな医療運動」の目的です。

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