「びんご・生と死を考える会」
心あたたかな医療110番
相談の内容紹介 45

質問45
 私は悪性リンパ腫(NK鼻腔リンパ腫)の二期と診断され(鼻腔内とのど歯茎周辺の潰瘍)、放射線単独の治療をうけました。効果があり寛解しましたが、予後のよくないリンパ腫ということで、念押しのため抹消血肝細胞移植併用大量化学療法の選択もあるといわれました。
 私が希望してセカンドオピニオンとしてお話を聞いた病院の結果はCHOP療法が適当であるといわれましたが。結果を主治医にお伝えすると、あまり効果が期待できない点と、再発時には薬の効きが悪くなるので、今の時点でCHOPを選択する意味はあまりないのでは、と少々ニュアンスの違う判断でした。
 セカンドオピニオンの先生には主治医からの紹介状と検査や放射線治療の結果、レントゲンをお見せしていますし、どちらも血液の専門の方です。このまま退院するか、CHOP療法を行うかの判断は私にゆだねられた状態なのですが、いま、CHOPを行うことに効果が少しでも期待できるのか、NKリンパ腫には効果がないのか、何か判断する基準はないのでしょうか。
回答45
 NKリンパ腫についての知識がありませんので、悪性リンパ腫の一般的な治療方法についての医者向けの参考書の内容を紹介しておきます。なお日本では治療方法は、病院によって、医者によって異なる場合が多いと思います。また自家末梢血幹細胞移植は抗ガン剤を大量に使うために起きる副作用を防ぐための処置です。

悪性リンパ腫Malignant Lymphoma(ML)
山口素子  三重大学・第2内科

b.治療方針
 治療はなるべく専門医に任せる.事情によりやむをえない場合でも,必ず連絡を取り合いながら行うことが望ましい.以下に自施設での方針を述べる.lymphoblastic lymphoma, Burkitt’s lymphomaは急性リンパ性白血病に準じる(急性白血病の項参照).ATL/L(成人T細胞白血病/リンパ腫),皮膚悪性リンパ腫は別項参照.

1)いわゆる低悪性度,indolent群(follicle center lymphoma, mantlecell lymphoma, marginal zone B-cell lymphoma, lymphoplasmacytoidlymphomaなど)の限局例では処方例(CHOP)3-6コース+局所放射線照射.腫瘍の大きさ,発症部位によっては局所放射線照射のみ,外科的切除のみとすることもある(眼窩,胃など).

2)低悪性度,indolent群(同上)の播種例 処方例(CHOP)反応例に対しては完全寛解をめざし8コース行う.不応例および高齢者では,処方例(CVP)または(VP-16)に移行し,外来通院を目指す.一般に現行の治療では治癒が望み難いが,60歳以下のハイリスク例(international indexでhighまたはhigh intermediate)に対してPBSCT併用超大量化学療法を検討することがある.

3)中等度悪性,aggressive群(diffuse large B-cell lymphoma,peripheral T-cell lymphoma, unspecified, anaplastic large celllymphomaなど)の限局例では,処方例(CHOP)6コース+局所放射線照射.

4)中等度悪性,aggressive群(同上)の播種例では,処方例(CHOP)を8コース行う.巨大腫瘤を有する例では局所放射線照射を追加する.60歳以下のハイリスク例に対してはPBSCT併用大量療法を前提とした治療を検討する.

 以上を基本とし,以下特殊な節外性リンパ腫では修正を行う.
 脳・中枢神経系・眼窩・副鼻腔・甲状腺原発例では、放射線療法を先行または追加で必ず併用.
 胃原発例では,近年Helicobacter pyloriの関与が知られており,消化器専門医や外科医と連携.
 小腸・肝脾・精巣・鼻腔原発例は予後不良であることが多く,症例ごとに厳密に対処する.

c.化学療法
 自施設では,近年の欧米での比較研究においてその有用性が再認識されたCHOP療法を,2週間隔で行うbiweekly CHOP療法を第1選択としている.

 処方例CHOP変法(biweekly CHOP療法)
エンドキサン 750mg/体表面積 点滴静注 第1日
アドリアシン 50mg/体表面積 ゆっくり静注 第1日
オンコビン 1.4mg/体表面積(上限2mg) 静注 第1日
プレドニン 60mg/body 経口 第1,2日
 WBC<2,000/μlまたは顆粒球数<1,000/μlとなった日からG-CSF製剤の連日皮下注を開始し,WBC>5,000-8,000/μlとなった時点で中止する.次回治療日前日には,原則としてG-CSF製剤を投与しない.以上を14日間隔を目標に14-21日間隔で繰り返す.
(今日の治療指針1998年版/(c)1998 IGAKU-SHOIN Tokyo)

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