「びんご・生と死を考える会」
心あたたかな医療110番
相談の内容紹介 2

質問2
 対象の患者は、先日下咽頭癌のV(3)期(リンパ腺には大きな転移は見られず、声帯が半分動いていない状態)と診断されました。患者は透析(約4年)も煩っており、医師の話だと外科手術はしないで放射線療法を20回程度行ってから、抗ガン剤と併用しての療法と言われました。
 その病院では、外科手術に12時間かかるため、不可能との判断で、その療法をとったとの話です。医師の話だと、他の病院では同じ判断を下すかもしれないし、外科手術を行うかもしれないとおっしゃっていました。
 私の疑問ですが、透析を煩っていた場合には 本当に外科手術を行えないのでしょうか? にわか知識ですが、基本的に下咽頭癌の場合、外科手術を行わないと5年生存率が低く、放射線治療の場合は、2年生存率で20〜30%と聞きました。本当に外科手術は出来ないのでしょうか? もし、出来たとして手術の成功の確率はどれぐらいあるのでしょうか? このまま放射線と抗ガン剤の併用療法で良いのでしょ うか?
回答2
 咽頭癌はステージ1で発見されることが少ないので手術が一番最初の治療法とは限りません。むしろ放射線療法やそれに化学療法を加える治療法が最初の治療法となることが多いと思います。化学療法としては何種類もの抗癌剤を組み合わせる方法が一般的です。癌が小さくなるのは2人に1人(50%)、また癌がいったん消失する (完全寛解)のは3人に1人(30%)と言われています。放射線療法と化学療法と手術療法を組み合わせると10人に7人(70%)がいったんは癌が消失すると言われています。
 5年間、癌が消失したままであれば、治癒したものと考えられます。咽頭癌は喉頭癌にくらべると手術も困難で、またリンパ節転移も多く、治療成績 も喉頭癌ほどではないようです。それで手術する前に放射線を当てたり、化学療法を行なったりして、癌をある程度小さくしてから手術する場合が多いと思います。手術では下咽頭のみならず、喉頭や食道上部(頸部食道)を切除することが多く、欠損した組織を腕の皮膚や胸部・背部の筋肉などを用いて形成することも盛んに行なわれる ようになってきています。食道上部を切除した場合は、小腸を一部切りとって代用食道とすることもあります。最近は、放射線療法と抗癌剤の組み合わせで扁平上皮癌が消失する(完全寛解)場合が多いことがわかってきたので、年齢によっては手術を行なわないことも多いようです。
 相談のケースの場合は、透析中ということですので、なるべく手術をさけて治療をするこ とになると思います。手術をするにしても、できるだけ小さい手術にしたほうが安全です。手術は外科や耳鼻科や形成外科の医師が協力して行うことになります。透析を しているから、手術ができないということはありません。担当医によく相談してみてください。
再質問2
 アドバイス本当にありがとうございます。何度も申し訳ないのですが、再度質問させていただきます。
 基本的には、手術をするかしないかは担当医と相談して下さいとのメールでしたが 、担当医としては、手術は出来ない(当病院での治療成績から)から、化学療法を取らざるを得ないとの話なんです。(化学療法で癌を小さくしてから行うというスタンスは全くないようです。)
 自分としては、貴殿のメールでも有りますように、手術を行った方が、癌が消失する場合が多いとなれば、実際に手術が出来るところを探すべきではないのかと思います。現実は、年齢が(64才)と健康状態(透析)にも大きく影響しますが、手術できるところを探した方が良いのでしょうか? 一般的に今回のようなケースの場合は、手術を行っているのか、化学療法なのか、どうなんでしょうか? 患者の状態によるところが大きいのでケースバイケースかと思いますが。 何度も申し訳有りません。良きアドバイスをお願いいたします。
再質問への回答2
 「手術を行った方が、癌が消失する場合が多い」とは言わなかったと思います。手術が可能となるには、抗癌剤や放射線治療が効いて、癌が小さくなった場合に限ります。たとえ手術が可能な状況になったとしても、手術自体が難しい場所ですし、手術しても再発する可能性が大きいうえに、透析中という大きな悪条件がありますので、手術をすることが本人にとって良いことかどうかという判断は難しいと思います。結果が良ければ、良かったといえますが、その可能性は少ないと判断するのが医学的には一般的(常識的)な判断だろうと思います。
 ご存じとは思 いますが、透析中の人には「貧血」はほとんど必発で、「癌」は高頻度に発生します。つまり「なるべく手術をさけて治療をすることになる」ということです。相談のケースの場合に、担当医に「化学療法で癌を小さくしてから行うというスタンスは全くない」ということですが、担当医の考え方については、色々な解釈ができると思います。
1)諦め(予後を予想して最初から諦めている)。
2)消極的(リスクを考えて治療に消極的になっている)。
3)慎重(リスクを考えて治療を慎重にしようと考えている)。
4)思いやり(期待を持たせたのに、手術ができなかった場合のこ とを考えている)。
 いずれにしても担当医と納得の行くまで話をして、場合によって はセカンド・オピニオンを希望されたら良いとおもいます。相談してみてください。もちろん本人の希望を尊重してあげなければいけないと思います。

注:セカンド・オピニオンについては、内容紹介1に内容があります。参考にしてください。

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